バイオリンとの出会い

1、音楽との出会い

高校生の時に初めて買ったレコードはドボルザークの「新世界より」。以降クラシック音楽が趣味の中心になり、小遣いのほとんどを音楽につぎこんでしまう生活になる。

当時まだFM放送はなく、ラジオを2台用意して、NHKの第一放送と第2放送を左右のチャンネルとしてのステレオ放送でした。「左右の音量を調整してください」とのアナウンスに従い、調整が終わると部屋の中心に正座して聞いたものです。

ステレオも今のようにコンポーネントタイプではなく一体型が主流。音源はレコードのみと言っていいほどで、まだソースはかぎられていた。
ステレオ放送もまだまだ少なかったが、クラシックを中心に放送され始めたのでチューナーが2台内蔵されたステレオが売り出される。

FM放送が始まり、なけなしの小遣いでステレオを購入。ほどなくしてテープデッキも購入。今のカセットテープと違ってオープンリールという手間のかかるもの。
毎月給料が入るとすぐに日本橋(大阪の電器店街)に行ってテープを購入。部屋には5インチと7インチのテープが所狭しと並べられていった。

このころ少し流行ったのが4チャンネル。2台のスピーカを後ろの両隅に追加して、臨場感を高めるもの。4チャンネル対応のレコードも出たけれど、今はハテ?

同じ頃教会音楽に出会う。それほど立派なパイプオルガンではなかったけれど、今まで体験したことのない音に身を揺さぶられる。それと、初めて聞いたモーツァルトの「レクイエム」。
レコードだったけれど、礼拝堂に流れる音楽に人生観をも変えさせられた、といえば少し大げさかな?

2、初めての楽譜

大学で経験したのが混声合唱。あまり迷いもなく参加し、ハーモニーを作っていく楽しみを覚える。
合唱も楽しかったが、練習後の居酒屋でのダベリングが目当てだったのかも・・・・。

ここでの譜読みでリズム感と音感には自信を持ったのだが、バイオリンを習いはじめてどちらもがガラガラと音を立てて崩れてしまうとは、もちろん予期できぬことであった。
ついでながら、合唱団で音符との出会いと共に嫁さんにも出会ってしまう。

カラオケもまだなかった時代。トップテナーの音域に苦しむこともなく、思う存分楽しめた。知らない人は今の肥満体型をみて「ベースだったでしょ」……。

3、ピアノとの出会いと別れ

さて聞くばかりで、何も楽器を演奏することの出来ない身としては漠然とあこがれていたのがピアノ。

2度目の大学もあと1年となった時に、付属の短大にピアノのレッスン室があり、「いつもカギがかかっていないらしい」と聞きつけ、毎日夕方空き巣の如くレッスン室通いがはじまったのです。
本当は規則違反なんでしょうけどねー。(^0^;)

バイエルの最初からの独学が始まり、毎日授業はそっちのけで、最初はコソコソしていたレッスン室行きも堂々(?)と昼間から行くようになり、短大とはいえ男子もいたので最後までバレることはなく卒業を迎えたのです。少し遅れて大学に入ったので、ひょっとしたら助教授あたりに間違えられていたのかも。

大学を出てしばらくは身近にピアノもなく中断し、結婚してピアノの独学が再開され、「エリーゼのために」が、たどたどしいながらも弾ける程度ではあったのですが・・・・・・。

右利きの私が右手の親指と人差し指に損傷をうけたのが、6年前の2月。人差し指は約2センチ短くなり、親指も先端部の骨を欠きました。

当然のことながら、ピアノは弾けません。左手だけでメロディーを楽しめるほどの技量もなく、自然とピアノの前には座らなくなりました。

4、バイオリンとの出会い

事故のあと1年半ほど経過したある日、職場の近くで何気なく見かけたバイオリン教室の看板。

自分の体の中に、何か震えのようなものを感じたのを今でもハッキリと思い出せます。「バイオリンなら弾けるじゃないか」(私は生粋の大阪人ですので正確にいうと、バイオリンやったら弾けるやんか、です)。
コンサートやレコードで当たり前のように知っていたバイオリン。でもそれと、それを弾く自分というものがこのときまで、全く結びつかなかったのです。

もちろん、いかに演奏技術の獲得が困難であるかはこの時は知る由もありませんでした。

最初に見かけたバイオリン教室にその日のうちに飛び込んだのですが、残念ながらすべての時間帯が埋まっており(個人で教室をやっておられました)、他で探すことにしたのです。

今ならこのようなインターネットで探すことも出来るでしょうが、当時は特にアテがあったわけでなし、いたずらに時間が過ぎたのですが、ふと見た電話帳に、今習っている先生の広告が載っていたのです。しかも家から車で5分ほどの距離。

「年とってますし、バイオリンに触ったこともないんですが・・・」と申し込んで面接してもらったのですが、気軽に引き受けていただき、バイオリンとの付き合いが始まったのです。初めて手にしたバイオリンはなんと小さく感じられたことでしょう。

「1995年10月19日」、バイオリンケースに書かれたこの日付が、初めてバイオリンに触れた、私の新しいそしてもっとも大事な記念日になったのです。

「5年ほどで1曲弾けたら」と厚かましく先生にお願いしたのですが、まもなく5年になろうとしている今、「弾ける」ことの難しさを味わっています。

♪記憶違いもあるでしょうが、およそ30年を振り返るとこんなものでしょうか。

 

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