ここには奏法の説明を中心にバイオリン関連の用語を集めてみました。

 

 

アウフタクト

上拍、弱拍、弱起。アップビートと同じ。本来は指揮法でタクトを上へ振り上げて示す拍(弱拍)を意味するが、一般には曲の最初の強拍を導く場合を意味することが多い。

アッパー・モーデント

主音符と2度上の音を素早く往復する装飾音。プラルトリラー、プラルラー、あるいはインヴァーティッドとも言う。4分音符の上が記号、右側が奏法です。以下他の記号も同様です。

アップ・ボー

上げ弓。弓の先端から手元へ左に押す運弓法で、一般には弱拍に用いられる。

ア・ラ・コルド

弦から弓を離さないで、スラーで。

アルカート

ピッツィカートなど弓を用いない奏法後、再び弓を用いること。

アンサンブル

@重唱、重奏。ごく小規模な合唱、合奏の演奏形態。ソロと伴奏のような主従関係はない。
A合唱や合奏のテクニック(まとまり具合など)。

オーナメンツ

装飾音。前打音、後打音、ターンなど旋律を飾るためにつけ加えられた音。18世紀末頃までは装飾が演奏の基本条件で、作曲者が記譜したり、演奏者が即興的に装飾するなど多様であった。したがって名称や奏法は時代や地域によって異なり、現在その解釈は必ずしも一様ではない。装飾音の記号は、音の動きを記号化したものが多い。

ガット弦

羊腸弦。子羊の小腸末端部を精製した弦。音色が美しく、古くからヴァイオリン属に多用される。

カンティーノ

ヴァイオリンやリュートなど弦楽器の最高弦。特にヴァイオリンのE線を指す。

グリッサンド

高さの異なる2音間を、各音にアクセントをつけないで滑るように弾く奏法。gliss.と略記されたり、音符間を斜めの波線や直線で結ぶ記号で示される。ポルタメントとは異なる。

クルツァー・フォアシュラーク

短前打音。斜線のある前打音で、その長さは主音符からごく短く取ることを基本とし(譜例左)、曲や演奏者の解釈によっては主音符の前に出されることもある(譜例右)。

サルタート

弦楽器奏法の一つ。弓の中央部で行う急速な短い1弓奏法。弓が弦上を跳ねる。ソティエとも言う。

シャコンヌ

16世紀にスペインからイタリア、ドイツに導入された舞曲で、その後器楽の形式となる。一種の変奏曲。4小節または8小節の旋律か和音進行が休みなく反復を繰り返しながら、多彩な変化をするものが多い。
バロック時代の重要な器楽曲形式。

スタッカート

音を短く切って。レガートの対語。スタッカートには次の3種がある。()内は短くする基準。
メッゾ・スタッカート(3/4)、スタッカート(1/2)、スタッカティシモ(1/4)。短くする程度は曲の速さや性格などにより、演奏者の音楽的解釈にまかされる感覚的なものといってよい。

スピッカート

速いパッセージを弓の中央部を弦の上で跳ばすように弾く奏法。

スル・タスト

指板の上で。弦楽器の運弓法で、駒から離れた、指板上で弾くことの指示。音の強さと輝きが弱まる。

スル・ポンティチェッロ

駒の上で。前記スル・タストの対語。駒の近くで弾くことの指示。倍音の多いかすれた独特の音が出る。

ソナタ

通例、第1楽章がソナタ形式で、3〜4楽章で構成されることの多い独奏曲、または2重奏曲。ソナタの名称は古くは声楽曲に対する器楽曲の総称として用いられたが、バロック期には独奏曲か多楽章の室内楽曲を指すなど、時代によって意味する内容が異なる。
ピアノ曲の場合は単にソナタ、またはピアノ・ソナタ、バイオリンとピアノのためのソナタはバイオリン・ソナタ、同様にチェロ・ソナタ、フルート・ソナタと呼ぶ。
ピアノを伴わないバイオリン・ソナタは、特に無伴奏バイオリン・ソナタという。

ダウン・ボー

下げ弓。弓の手元から先端へ手を引く奏法。一般には強拍に用いる。

ダブル・アッポッジャトゥーラ

複前打音。小音符が二つ以上の前打音。小音符に斜線はないが、その他は短前打音に準じる。

ターン

回転。ある音符を中心に上下の音を順に奏する装飾音。広義にはそのような音型も含む。記号には横型と縦型とがあるが、意味は同じ。ターンは音符の真上にある時と、音符と音符の中間にある時とがあり、その長さは曲の速さによって異なる。
音符の真上にある時は、その音、または上の音から奏し始める。記号の上(下)にある変化記号は、その音符の上(下)の半音変化を示す。テンポが遅い時は終止音を延ばしてもよい。
なお、下の記譜例で二部音符の間に「V」と入っているのはその上と同じターンマークです。ターンマークはこのソフトでは音符の上にしか書けないのでこんなふうに記しました。

記譜   奏法

                 

デタシェ

元来は、1音ごとに上げ弓と下げ弓を交互に奏して各音を分離させるノン・レガート奏法。スタッカートと同意。今日では「1音ごとに弓を返す」の意に解釈し、逆に「切れ目なく弓を返す」とすることが多い。

デマンシェ

左手を棹に沿って移動させること、または左手の指を移動させて駒に近づけること。

トリル

主音符と2度上の音とを交互に素早く反復する装飾音。バロック期は不協和性を強調し和声を豊かにする装飾音として、すべて2度上の音から始められた。
古典派以後は旋律を装飾するものとして、特別の指示がない限り主音符から始めるのが一般的。
2度上の音とは音階的な2度、反復回数は曲の速さにもより、奏者の解釈にまかされる。

トレモロ

弦楽器では弓の上下による同音の急速な反復、または一つの弓による2音の急速な反復。ピアノでは8度、または5度か3度の2音の急速な反復。

ハーモニックス

バイオリン属やハープなどの奏法、およびその奏法による音(倍音)。弦上の特定の箇所に軽く指を触れることによって意図的に振動の節を作り出す奏法で、澄んで響きのある倍音が得られる。フラジョレットともいう。

バリオラージュ

バイオリン奏法の一種。音色の変化を求め、開放弦と開放弦でない弦を交互に反復する奏法。例えば、バッハの無伴奏弦楽器曲に頻出。

ピッツィカート

弦を指ではじく弦楽器奏法。ハープやギターなど撥弦楽器はすべてピッツィカート奏法であるが、通例はバイオリンなど弓弦楽器の場合を言い、弓弦楽器が撥弦楽器的な音の効果を出したい時に用いる。

プティ・デタシェ

弓弦楽器奏法の一種。弓の先端部分で1音ごとに弓を返しながらの速いフレーズ。

フラウタンド

弓弦楽器奏法の一種。弓を指板の近くで用いる奏法。フルートの音に似た柔らかい音色になる。

ボーイング

運弓法。弓弦楽器の弓の使い方。右手の運弓法は、左手の運指法と共に弓弦楽器の重要な奏法の一つ。正確な音高やビブラートなどは運指法によるが、音の持続・強弱・音色・フレージング・表情などは運弓法による。運弓法には上げ弓、下げ弓、レガート、スタッカート、あるいは駒の近くで弾くスル・ポンティチェッロ、指板の近くで弾くフラウタンドなど各種がある。

マルトレ

運弓法の一種。弓に弾力をつけて短く・鋭く・続けて強く弾く奏法。

モーデント

装飾音の一種。主音符と2度下の音とを短く往復する装飾音。往復の回数は主要音の音価やテンポにもよるが、通常一往復。シュネラーと逆方向の動き。

リコシュ

1弓連続のスピッカート。

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以上の解説は、遠藤三郎著、春秋社「音楽辞典」によるものです。